地球温暖化の影響で、九州地方では、今なぜか、田植えの時期が遅れています。米どころに一体何がおきているのでしょうか。
先月初め、福岡市の神社で五穀豊穣を祈る御田植え祭が開かれました。北部九州でこの時期に田植えが行われてきたことを伝えるものです。
しかし、今、田植えの時期がずれ始めています。原因は地球温暖化です。
水が一面に張られた田んぼ。いつでも田植えができるといった状態ですが、6月末になって、ようやく田植えが行われています。福岡県久留米市で50年間農業を営む塩塚久夫さんは、去年から田植えの時期を変えました。
「(田植えは)昔より1週間から10日くらいは、遅くなってますよね」(塩塚久夫さん)
塩塚さんの田んぼでは、ここ数年、不作が続いています。
「最近はもう暑いばかりで、米作りに九州が適しなくなったという感があります」(塩塚久夫さん)
福岡県農業総合試験場は、地球温暖化が米の品質や収穫量に影響を及ぼしているとして、農家に田植えの時期を遅らせるように勧めています。
「今までよりも、5日から1週間程度、遅く植えていただいて、9月の初めくらいに出穂する形に持っていくと温度が、かなり下がりますので品質が良くなると」(福岡県農業総合試験場、田中浩平専門研究員)
これまで福岡県では、平均的に6月半ばに田植えが行われていました。すると9月初めに穂が出て、10月10日から15日頃に収穫していました。
しかしここ数年、温暖化が進み、稲の成長が早くなったため、穂が出る時期が気温の高い8月末になり、収穫時期が10月初めになってきました。気温が高過ぎる状態で穂が出ると米の品質が悪くなるため、9月以降に穂が出るように田植えの時期を遅らせることにしたのです。
半透明でつやのある玄米が品質がよい1等米とされていますが、穂が出た後も高温だと、白く濁った品質の悪い米となります。福岡県ではここ数年、1等米の割合が激減しています。
さらに、穂が出てからの平均気温が1度上がると収穫量が5%から10%減ったという実験結果もあり、農業試験場はおよそ1万種類の稲を試験栽培して、新品種の開発を急いでいます。
「温度が高くて品質が悪くなるというのが九州のお米の全体の一番の問題ですから、最重要事項としては、高温に強いお米作りというのが一番大切なことではないかと思います」(福岡県農業総合試験場、田中浩平専門研究員)
塩塚さんは田植えの時期を遅らせただけではなく、比較的高温に強いとされる稲の品種に変えました。
「今年あたりは何とか(平年並みの)作況指数100いってくれれば」(塩塚久夫さん)
地球温暖化は、米作りという日本人に最も身近な農業にも影響を与え始めています。(02日15:14)
[日语原文阅读]经济:温暖化が影響、九州の米作りに異変
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