沖縄戦の集団自決に関する歴史教科書の検定問題で、文部科学省の審議会が結論を出しました。「日本軍が強制した」という直接的な言葉は復活しませんでしたが、「軍の関与」を示す記述については認められました。
今年3月の教科書検定。日本史の教科書から、「旧日本軍による集団自決の強制」という表現が削除されました。
強く反発した沖縄の人たち。こうした世論に押され、この問題は、教科書会社からの「訂正申請」という異例の道筋をつけることで、解決がはかられることになりました。
そして26日、その審査結果が報告されたのです。
「以前の段階で記述が過度に簡潔であるために、色々誤解を導く恐れがあるということについての『手当て』と」(検定審社会科担当部会、高橋文博会長)
「日本軍の強制によって集団自決に追い込まれた」と申請したものが、「日本軍の関与のもと、集団自決に追い込まれた人々もいた」という記述に、「『日本軍は』住民に手榴弾を配って集団自害と殺しあいを強制した」という申請は、「日本軍は住民に対して米軍への恐怖心をあおり、住民は、集団自害と殺しあいに追い込まれた」という記述に変更されたのです。
「住民の側から見れば、当時の様々な背景・要因によって自決せざるを得ないような状況に追い込まれたとも考えられる」(文部省教科書課、伯井美徳課長)
結果は、日本軍が手榴弾を配ったことや、アメリカ兵の捕虜となることを許さなかった日本軍の指導など、集団自決にいたる背景事情などが大幅に書き込まれ、日本軍の関与は認められました。ただ、軍に強制されたという直接的な表現は、またも認められませんでした。
「今後より一層、沖縄戦に関する理解というものが教育の場に於いても進むよう、私としても、また文部科学省としても努力をしていきたい」(渡海文科相)
直接的な表現を認めなかった理由について、審議会は、直接的な軍の命令により集団自決が行われた根拠は、現時点では確認できないとしています。(26日17:53)
『日语阅读』社会:教科書検定、「軍の関与」記述認める
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