宮城県では、今月1日からアワビ漁が解禁となりました。しかし、震災による稚貝=子供の貝が不足することへの懸念から、アワビ漁を見合わせる所も出ています。
高級食材として知られるアワビ。そのアワビにも震災の影響が出ていると言います。
「アワビは漁師たちのボーナス。収入に結構影響しますね」(アワビ漁師)
南三陸町の歌津漁港では、当面はアワビ漁を見合わせることにしています。津波で7割の船が流されたことに加え、稚貝不足の懸念があるからです。この漁港では、毎年14万個の稚貝を放流していましたが、今年は1個も手に入りません。その理由は・・・
「(アワビの稚貝は)福島第一原発から南、いわき寄りに1~2キロ行った地点。そこから持ってきています」(アワビの稚貝を放流している高橋才次郎さん)
購入していたアワビの稚貝は福島第一原発から出た温排水を利用して養殖されていたもの。温排水は年間を通じて18度の一定した暖かい水温を保てるため、福島から購入した稚貝の成長は早かったと言います。
「(稚貝が成長するまでに)宮城は5年、福島は2年。成長の度合いが違いますし」(アワビの稚貝を放流している高橋才次郎さん)
しかし、福島原発近くの養殖場は津波で流され、今も復旧のめどは立っていません。加えて、歌津周辺の稚貝の生息地「藻場」にも津波による影響が。
藻場は魚の産卵する場所や稚魚の隠れ家として生態系の中で大切な役割を果たしていて、アワビの稚貝も藻場の海藻を食べて育っています。震災の前と後を比較して、藻場が大幅に減少している場所もあります。
「いくらアワビがたくさんいても、食べる餌がなければ生活できない」(東京大学大気海洋研究所・小松輝久准教授)
稚貝不足や藻場の減少をどう解決するのでしょうか。アワビ漁復活に向けて課題は多い。(08日17:26)
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