2011日语：政治:沖縄防衛局長、不適切発言で更迭

防衛省の沖縄防衛局長が、「これから犯しますよと言う人がいますか」と、女性への性的暴行に例えた不適切な発言をしたことを理由に更迭されました。
２９日、緊急に記者会見を開いた一川防衛大臣。
「本日付で、田中・沖縄防衛局長を更迭するという人事を決めさせていただきます」（一川保夫防衛相）
着任わずか３か月で更迭されたのは、防衛省・沖縄防衛局の田中局長。普天間基地の移設を進める防衛省が、沖縄に駐在させているトップです。
「『引き続き沖縄の局長をやってもらうわけにはいきません、その身柄は私に預けてほしい』と。本人も、大変強くおわびの姿勢を示し『申し訳なかった』ということだった」（一川保夫防衛相）
更迭の原因は、田中局長の２８日の夜の発言です。沖縄・那覇市内の居酒屋。田中局長とおよそ１０人の記者による非公式の懇談会が酒を飲みながら行われました。
この中で、普天間基地の辺野古移設に向けた環境評価書について、「年内に提出する」と一川防衛大臣が明言しない理由を問われた田中局長は・・・。
「これから犯しますよと言う人がいますか」（田中局長）
女性への性的暴行に例えたと受け取れる発言をしたのです。沖縄の怒りは、一気に燃え広がりました。
「ものも言いたくなくなるようなことだと思いますね」（沖縄県・仲井真弘多知事）
沖縄選出の国会議員は、８人全員がそろって田中局長を更迭するよう、一川防衛大臣に要求しました。
「８名全員、もうはらわたが煮えくりかえる思いで怒りまくっております」（社民党・照屋寛徳国対委員長）
当の田中局長は急きょ、沖縄から上京。
「すいません、ちょっと次官室にこれから参りますので開けてください」（田中聡沖縄防衛局長）
防衛省で事情を聞かれました。そして・・・。
「本人が発言した内容は、報道の表現とイコールでないと言っているが、その場の雰囲気なり状況等からみると、そういうふうに解されてもやむをえないと」（一川保夫防衛相）
実は、政府関係者は早くから「更迭は避けられない」という見方を示していました。
「少女暴行事件が起きた沖縄で、女性に対する性的暴行と受け取られる発言をしたら、更迭もやむをえない」（政府関係者）
沖縄では９５年、アメリカ軍の兵士による少女暴行事件が発生し、県民の怒りが頂点に達しました。今回の発言は、沖縄県民にあの事件を思い起こさせました。
「人間性を表していると思うので、更迭されて当然かなと思います」（沖縄県民）
「正直またかという思い」（沖縄県民）
政府としては、早期に局長を更迭したことで事態の収拾を図りたい考えです。一川大臣も来月、環境影響評価書を提出する方針は変わらないとしています。
「今年中に提出できる準備を進めさせてもらう、という方針に変わりはない」（一川保夫防衛相）
しかし・・・。
「（環境影響）評価書の提出などの問題があるので、余計に県民の反応は一気に強くなる、大きくなると思います」（名護市・稲嶺進市長）
「評価書提出なんてできないよ」（社民党・照屋寛徳国対委員長）
来年夏ごろに沖縄県知事に埋め立て許可を申請するという、政府側が描いてきた普天間移設のスケジュールに影響が出ることは避けられそうにありません。
今回の田中局長の発言は、報道されないことを前提にしたいわゆる「オフレコ」のものでしたが、地元紙、琉球新報が報道に踏み切りました。
「公共性、公益性があると判断し報道に踏み切りました。発言は人権感覚を欠くものであると同時に、今の政府の沖縄に対する強権的な あり方を象徴する内容でもあると受け止めました」（琉球新報）
沖縄の心を傷つけた野田政権。失われた信用をどう取り戻していくのでしょうか。（29日23:02）

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