香川大学医学部などの共同研究グループが、これまで謎とされていた心臓の疾患によって腎臓病を併発する仕組みを解明しました。心臓疾患と腎臓病併発のメカニズムを解明したのは、世界で初めてです。
心臓疾患によって腎臓病を併発する仕組みについて研究を進めてきたのは、香川大学医学部の西山成教授ら国内外4つの大学の共同研究グループです。これまで、心臓に疾患のある患者の多くが腎臓病を併発するという報告はありましたが、そのメカニズムは分かっていませんでした。
「心臓だけが悪い患者と比較して、心臓が悪くなって腎臓も悪くなる患者の方がはるかに治療しにくい、治療に抵抗性があることも経験として持っていて、それがなぜかということを明らかにすることが研究の大きな目的」(香川大学医学部〔薬理学〕西山成教授)
ラットを使った実験によりますと、心臓の機能が低下した状態が続くと、機能回復などのため交感神経の働きが活発になります。さらに脳を通じて腎臓の交感神経の働きも活発になります。これにともない、腎臓に「アンジオテンシノーゲン」というタンパク質が生成され、その結果、タンパク尿や腎不全を引き起こす原因となるのです。
また、研究グループは心臓疾患のあるラットに高血圧の薬を投与したり、腎臓周辺の交感神経を切断したりすると、腎臓病が併発しないことも突き止めました。これらの研究を踏まえ、西山教授は尿検査で尿の中にある物質を調べれば、腎臓病の併発を初期の段階で見つけることも可能だと考えています。
「心不全の患者が100万人から200万人いるといわれる。そのうちの数割がおそらく将来的に腎臓がどんどん悪くなって、(人口)透析になる可能性が非常に高いといわれています。そういった患者を積極的に治療や診断をすることによって1人でも少なく・・・(人口)透析にならないようにしたい」(香川大学医学部〔薬理学〕西山成教授)
今後、心臓疾患の患者への腎臓病の併発予防へ向け、成果が期待されています。今回の研究は、アメリカの医学雑誌に論文が掲載されることになっています。(06日19:40)
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