中国での調査で、日本国際通商協会の太田調査部長は華東対外国貿易総合会社の蒋経理を訪問して、中国の貿易政策についていろいろ尋ねる。
蒋:よくいらっしゃいました。
太田:はじめまして、(名刺を渡す)国際通商協会の太田でございます。どうぞよろしくお願いします。
蒋:あ、どうも(名刺を受け取る)蒋です(名刺を渡す)。こちらこそよろしくお願いします。どうぞおかけください。
太田:はい。これは日本から持ってまいりました京人形です。どうぞお受け取りください。
蒋:それはそれは、こんなすばらしい美術品をいただきまして、本当にありがとうございます。
太田:今日は蒋経理にお会いできまして、大変光栄に存じます。
蒋:恐れ入ります。太田部長はどこにお泊まりですか。
太田:ガーデンホテルです。
蒋:そうですか。上海は蒸し暑くて大変でしょう。
太田:今年は異常気象で、東京も同じぐらいですよ。
蒋:そうですか。上海の印象はいかがですか?
太田:上海も大分変わりましたね。高層ビルがどんどん建っていますし、地下鉄も建設していますし。
蒋:それは開放政策のおかげだと思います。
太田:あと十年ぐらいで、上海も名実ともに国際都市になるに違いありません。
蒋:それは私どもの願いです。ところで、お仕事のほうはいかがですか?
太田:はい、この度、上海での調査でお世話になっております。
蒋:ご協力できて嬉しく存じます。どんなことをお知りになりたいですか?
太田:今回は中国の貿易政策についてお伺いしたいと思います。
蒋:そうですか。それについては、一口に言いますと、全体の原則は変わりません。即ち、やはり『平等互恵、有無相通ずる』という原則を貫いています。
太田:報道によりますと、貴国は対外貿易分野でも改革進めているそうですが、それは本当でしょうか?
太田:報道によりますと、貴国は対外貿易分野でも改革を進めているそうですが、それは本当でしょうか?
蒋:そうです。政府の『対内的には活性化させ、対外的には開放する』という政策に沿って、私たちもこれまでの画一的なやり方を見直して、国際商習慣に基づくやり方を取るようになりました。
太田:そうですか。具体的にどんな方法が採用されていますか?
蒋:具体的に言いますと以前より弾力的な方法を取るようになりました。例えば、分割払い、OEM、委託加工貿易、合弁経営などです。
太田:本当に大きな転換ですね。
蒋:はい。それから、われわれは自力更生をふまえて、積極的に外資の導入もしています。
太田:その方面のことも是非とも知りたいのですが。
蒋:はい。外資を導入するために、私たちは投資環境の改善に力を入れております。経済特区の設置とか、関連法の整備などが進められています。要するに、外国投資家に対して、優遇措置を取る方針です。
太田:それは魅力的ですね。お国の経済改革は世界的にも注目されていますが、日本の経済界は特に関心を寄せています。
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