埼玉県越谷市で70代の女性2人が誤って殺虫剤を飲み、1人が重体、もう1人も重症となっています。2人はペットボトルのお茶を飲もうとしていましたが、ペットボトルの中身は殺虫剤でした。なぜ、殺虫剤が入っていたのでしょうか?
「母親が『ペットボトルのお茶を飲んだら吐いた』と言っている」
埼玉県越谷市の住宅街。女性の切迫した声で地元の消防に電話があったのは、15日午後5時過ぎのことでした。救急隊が駆けつけると、部屋の中ではこの家で暮らす女性(74)と、遊びに来ていた女性(71)の2人が倒れているのが見つかりました。テーブルの上には、お茶の商品ラベルが貼られたペットボトルがあったといいます。
「救急隊がペットボトルを見たところ『ちょっと異臭がした』と。(Q.どんな色?)『お茶よりいくらか薄い色』と」(越谷市消防本部)
2人の女性は病院に運ばれましたが、1人が意識不明の重体、もう1人は重症となっています。2人が飲んだ、ペットボトルのお茶。中身は殺虫剤だったとみられています。なぜ、お茶のペットボトルに殺虫剤が入っていたのでしょうか。
2人が、お茶だと思い込んで飲んだペットボトル。警察などによりますと、ペットボトルの中身は「水性サフロチン乳剤」という殺虫剤だったとみられています。
この殺虫剤は3日前、蚊やハエを駆除するために、越谷市役所から希望する町の自治会に配布されたものでした。その後、自治会の会長がお茶のペットボトルに移し変えて、各家庭に配布したといいます。ペットボトルには、お茶の商品名のラベルが貼られたままでした。
「こちらが一般に販売されているお茶です。そして、こちらが殺虫剤を10倍に薄めたものです。色ははっきりと違いますが、こちらだけ見ると薄い黄色でお茶のようにも見えます」(記者)
越谷市は注意喚起をしたうえで、薬品を一斗缶に入れた状態で自治会側に配布したと説明しています。
「飲料用の容器に小分けしないでくださいと、注意の文書を出している。末端まで守りきれず残念」(越谷市の担当者)
専門家によりますと、この水性サフロチン乳剤は一般的に使われている殺虫剤だとして、注意を呼びかけています。
「間違って飲んでしまうケースがこれまでも中毒事例としてあった。それを避けるために意図的に色をつけてきた」(昭和大学薬学部沼澤聡准教授)
警察によりますと、自治会の役員は被害者の女性に対し、「排水口の掃除に使う殺虫剤ですと言って手渡した」と話しているといいます。警察は殺虫剤を配布する際のいきさつについて、さらに調べています。(16日16:57)
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